年商売上1000万は不可能か?
士業(特に行政書士、社労士)の開業などのネット記事を見ていると、年商売上1000万という数字が一つの目標(憧れ?)として書かれていることが多いです。
確かに副業で開業している筆者としても、1000万という数字はすごいなと思うところはあります。
とはいえ、不可能かというとそこまでではないのかなと思っています。(達成してから言え、というツッコミは置いといて。)
年商1000万を分解すると・・月商で約83.3万。
例えば、行政書士の業務単価を10万と設定すると、ひと月8~9件ちょいの受託になります。社労士だと顧問契約(給与計算など含む)で月5万とすると16~17件、これに就業規則、助成金などの報酬がプラスされるともう少し少なくてもいいかもしれません。
社労士連合会の調査では、開業社労士の顧問数の中央値が10社になっており、これに少し上乗せすればいいという計算になります。(簡単ではないですが・・)
もし、行政書士、社労士のダブルライセンスなら、顧問料という固定収入と行政書士のスポット収入の両方を狙えますし、許認可業務から社労士顧問契約というのも狙えそうです。
年商1000万は、決して簡単とは言いませんが、不可能とも言い難いすす時だと思います。
どんな事務所にしたいか。
士業の事務所を開業する人にもいろんな人がいますが、共通しているのは、
「今の会社よりも良い環境で働きたい。」
というのは共通しているのではないかと思います。
良い環境と言っても、
・時間に縛られたくない。
・自分が稼いだ分は稼いだ分だけ欲しい。
・働く場所も自分で選べるようにしたい。
・指示されるのが嫌。
・人間関係がめんどくさい。
などなど。
そうなると、開業後どんな事務所にしたいかも重要かなと思います。
要は事務所のゴールイメージですね。
従業員はこれくらいの人数で、事務所の売上はこれぐらい、自分の給与はこれくらいで、残す利益はこれくらい、何の業務をメインにしてなどなど。
そのイメージが具体的であればあるほど、逆算して今何をすればいいかが明確になってくると思います。
別に従業員0名でもいいのです。自分で全部やるから、年収は2,000万とか。
年収2,000万をもらうには、売上いくらで、そのためにはどんな業務をどのように取ってくるのかとか。
どうなりたいか、どんな事務所にしたいのか、は思っている以上に大事です。
AIに取られない仕事
士業というと、「将来、AIにとって代わられるから、仕事がなくなる。」と言われがちな仕事ナンバーワンと思っています。(ほかにもあるのかもしれませんが、体感ナンバーワンです。)
本当に士業はAIにとって代わられて、仕事がなくなってしまうのでしょうか。
結論、「そんな業務もあるけど、無くならない業務もある。」というところでしょうか。
簡単に書類が作成できてしまう業務は、今後なくなるかもしれません。
かつて、行政書士が運転免許試験場の前に事務所を構えていたときがあった(相当古い話ですが・・・)ように、今後は簡単にできる業務はAIにとって代わられる、これはおそらくそうなるのではと思います。
ただ・・・下記のような業務はAIでは難しいのではと思っています。
図面作成、実査立ち合いというAIにはできないプロセスが存在し、仮に携帯などで撮った画像から図面を書き上げるAIが出来たとしても、その図面が法令に適しているのか?そもそもこの場所で開業できるのか?などは、実際に周辺を歩いて調査できないAIには難しいと思います。(Googleマップに載っていない病院などが出来てたなんていう話は日常茶飯事です。)
②障害年金申請(社労士業務 代替可能性:低)
障害年金申請には医師の診断書が必要です。これ自体をAIが作成することは不可能です。また、医師に状況説明を説明して、クライアント様の現状を正確に理解してもらうというプロセスもAIには難しいと思います。実はこの業務はこの部分が肝だったりするので、この業務が将来AIにとって代わられるとしたら、制度自体が変わるなどが発生したときかなと思います。
③助成金申請(社労士業務 代替可能性:中~低)
助成金の書類自体は、もしかしたら作成できるかもしれませんが、「そもそもその会社助成金支給要件を満たしているか」という申請の前提については、AIに判断するのは難しいと思います。また、例えば、キャリアアップ助成金正社員コースなど事前に計画書の提出やキャリアアップ助成金に適した就業規則の届出などのプロセスを経て助成金は申請されるものです。これをきちんと全部AIが対応できるかというとかなり難しいのではないかと思っています。(一部書類は作成できるかもしれないですが・・)
助成金に似て非なる補助金のほうがまだ代替の可能性はあるかも・・と思っています。
とはいえ、そもそも何をしたいので補助金を申請するのかというところは、会社の経営者と二人三脚で進めないといけないので、ここはAIにとって代わるというイメージが付きません。書類くらいはできるのか・・?と思いつつも、補助金審査も年々厳しくなっており、きちんと練られた計画でないと採択されづらいです。また、いつのタイミングで設備投資の支払いをしたらいいのかなど、間違うと取り返しのつかない部分もあるので、なかなか難しいのではと思っています。
⑤電子申請不可の業務
そもそも役所に行けない人が士業に頼むケースが多いと思っています。
気軽に役所窓口に行けるなら、時間がかかっても役所に何度も確認しながら申請すればいいことなので、それができない人が士業に頼むのではと思います。
とって代わられない業務は、これらだけではないと思っていますが、取り急ぎ思いつくところから書いてみました。
行政の規制は、一部が廃止されても、社会情勢によって新たな規制も出てきます。
今、ニーズがある業務は何かを考えながら事務所運営をしていけば、なんらかの業務に特化していけるのではと思います。
何の資格を目指すのか。
資格を目指す方の7~8割くらいは、
「今のままの生活だと将来が不安だ。」
「資格を取って、収入を増やしたい。」
「サラリーマン生活が嫌だ。」
という理由で資格の勉強を始めるんじゃないかと思います。
当然です。そりゃそうだと思います。
ただ、資格の勉強をしようと思ったとき「じゃあ何の資格を勉強すればいいのか?」という疑問にぶち当たると思います。
基本的にはどんな資格でもいいとは思いますが、最初の基準としては、「興味がある業務ができること」がいいんじゃないかと思います。
よくあるのは、自分がサラリーマンとしてやっていた業務のなかの一部業務を専門業務にして行政書士として独立したいとか。建設業に勤務していた人は建設業許可申請したり、パチンコ店勤務の方は、風営法を専門業務にしたり。造船業でいうと海事代理士になったり。珍しいところでは、特定機械の設置許可をサラリーマンのときに仕事としてやっていた方が、それ専門の社労士になったとかもあります。
とはいえ、こういうのはサラリーマン経験が一定ある人向けの決め方なので、学生さんは何を基準に選んだらわからないかもしれません。
そういう学生さんにはぜひ弁護士を目指してほしいです。
昔と違って法科大学院が設立され、弁護士資格が少し近くなってきているように感じます。また、今後AIが発達しても仕事が奪われない資格に挙げられているので安心できるかと思います。(では他の資格がAIに仕事を奪われるのかというと全部が全部そうではないと思っていますが、その辺は別の機会に・・)
もし法科大学院や新司法試験に合格しなくても、勉強した知識を使って別の資格にチャレンジしてもいいんじゃないかとも思います。
それぞれの立場で自分の価値が最大限に活かせる資格を選ぶのが一番大事だと思います。
「相性がいい資格」
資格の学校に通学して資格を取ると、「合格した資格と相性がいい資格はこれですよ!今なら受講料○○%OFF!」的な広告もらいますよね。
あれって、いわゆる「クロスセル」的なものなんでしょうが、本当に相性のいい資格ってあるのか?って言われると、「まああるっちゃあるかな」という答えになるんじゃないかと思っています。
例えば・・・
行政書士+社労士
とか。
行政書士は建設業を初めとする許認可申請業務がメイン業務のひとつなので、許可を取ったあと、人を雇うという流れになることが多く、じゃあ社保、労働保険の手続きもお願いしようか、ついでに助成金、補助金も・・・ってなりがちです。
この流れは結構あるあるなので、事務所経営を考えた場合に「相性がいい」資格の一例に上げられます。
司法書士+土地家屋調査士も同じで、調査士業務として、土地の合筆、分筆などの登記をして、家が建てられたら表題登記をして、その後所有権保存登記、ローンがあれば抵当権設定登記の流れになります。これも「相性がいい」資格の代表例みたいな組み合わせです。
とはいえ、一番相性がいいのは、「資格+営業力」です。
営業力がないと、そもそも許認可業務の仕事や登記の仕事を取れなかったりします。
逆に営業力さえあれば、資格は一つでも、その資格の合格難易度が高くなくても売上は立ちます。見も蓋もない話ですが、現実としてはこうです。
(私も不安があって複数資格を持って開業したので、自虐を込めて書いています。)
じゃあ、営業力がないと資格があっても事務所経営は成功しないのか?というとそうでもないのが、士業事務所の経営です。最初に来た仕事に対して、丁寧に誠実に対応すると次の仕事や紹介に繋がったり、別の方を紹介いただいたり・・・
あとは、「資格+webマーケ」もめちゃくちゃ大事な組み合わせです。
(このへんは別途書きます。)
結論、営業力がなければ、「資格+誠実さ」でも大きな武器になるのではないかと思っています。
何が求められているのか。
開業に際して、一番のネックは、
「仕事が取れるのか?」
だと思います。
副業で知り合いからの紹介がメインの弊所なので、あまり参考にならないかもしれませんが、開業してこれまでの経験(自慢できるほどではないですが・・)を基に書いてみたいと思います。
まず取れるか取れないかで言うと取れるとは思います。
とはいえ、待っていて仕事が来るかというと来ません。
それはそうです。
そんな仕事があれば、みんなやります。
弊所みたいに紹介いただければラッキーですが、そうでない場合、積極的に取りにいかないといけません。
そこで気になるのが、
「何の業務が求められているか。」
だと思います。特に行政書士はそうだと思います。
私は、それをどこで調べればいいのか、それすらわからない状態でスタートしましたが、今はwebで全部調べられます。
まずは、キーワードプランナーです。Google広告のなかのツールで、どんな言葉が検索されているかを調べることが出来るとても便利なツールです。そもそもは広告出稿者向けのツールですが、ざっくり言うと一回広告をクリックするとどれくらいの金額がかかるかを調べられるツールです。
この一回の課金が高ければ高いほど、その言葉に関連する広告出稿が多いということになり、その言葉に対するニーズが多いと仮定できます。
これを使って、自分がやりたい業務がどれくらいニーズがあるのかを調べるのも一つの手だと思います。
あとは、単純に業務名で検索して、同業者がどれくらいの広告を出しているかを見てみるのも、目安にはなるかもしれません。
ちなみに、弊所もある許可業務専用のHPへ誘導するため、広告出稿をしたのですが、その際は、クリック広告で7~8件ほどの依頼を取りました。
ただし、課題も多かったです。
①広告の仕組みをきちんと理解しておかないと、思ったより多額の広告費になりかねない。
⇒クリック広告は、簡単に言うと、広告料の「せり」みたいなもので、課金すればするほど、クリックされやすくなりますが、一回の業務報酬のうちどれくらい広告費に費やすかを先に決めておかないと、へたをすると赤字になります。(弊所も結果赤字になりました・・少し高い勉強代になってしまいました・・)
②報酬の取り漏れのリスクもある。
⇒これは弊所のやり方もまずかったのですが、全国向けに許可申請書(添付書類含む)だけを作成し、管轄行政庁に提出するだけ、というやり方にしたのですが、成功報酬的に報酬を設定したため、未払いも少し発生しました。やるのであれば、事務所所在地及び周辺都市のお客様をターゲットにしたほうがいいと思います。
このくらいですかね。
他の士業の先生のなかには、「飛び込み営業も必要」とされている方もいるかもしれません(今はもういないか・・)が、飛び込み営業はストレスがたまる割には成果が少ないですし、あまりお勧めしません。ネット集客のほうがかなり効率がいいです。(営業に対する度胸をつけたいというような別の目的がある場合は別です。)
なんにしろ、
「行政書士の場合は、何の業務をメインにするか、ニーズをきちんと調べて決める。」
というのが一番大事です。
これさえきちんとすれば、ある程度、事務所の立ち上げはできると思います。
実務を勉強するほうがいい?営業をするほうがいい?
開業すると、まず考えるのが、
どうやれば売上が上がるのか?
だと思います。
そのなかで、かなりの割合で考えるのが、
実務の勉強をもっとやったほうがいいんじゃないか?
ということです。
中には、別の資格の勉強を始める人もいるんじゃないでしょうか。
確かに間違いではないんですが、実務の勉強を10時間やるより、1件の依頼をやってみるほうが、はるかに勉強になります。
1件やると、その業務の理解が格段に進むということです。(特に行政書士は)
なので、営業をやってみるほうがいいとは思うのですが、やはり最低限の知識はないと、相談の段階でお客様に離脱されます。
このあたりが難しいところですね。
相談の中で何を聞かれたか、それに対してお客様が求めていた答えは何なのかを考えると受任率も上がると思います。
とはいえ、どうやって相談まで持っていくんだ、ということでしょうが、やり方はいろいろあると思います。
知人の紹介、ウェブ集客などなど。
場合によっては、最初の案件だけ無料でやってもいいかもしれません。
そのくらい、実務の勉強になるということです。